弁護士の社会における役割

弁護士は、一般的に法律事務を担います。

法令上の根拠

「弁護士は、当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱によつて、訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件に関する行為その他一般の法律事務を行うことを職務とする。」(弁護士法3条1項)とされ、また、 「弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない」(弁護士法72条)と規定されています。

裁判所の解釈

平成22年7月20日最高裁判所第一小法廷決定(平成21年(あ)1946号)最高裁判所刑事判例集64巻5号793頁は、当事者『の間においては、法律上の権利義務に争いや疑義が存するなどの事情はなく、被告人らが受託した業務は弁護士法72条にいう「その他一般の法律事件」に関するものではないから、同条違反の罪は成立しない」という上告趣旨に対して、『しかしながら、被告人らは、多数の賃借人が存在する本件ビルを解体するため全賃借人の立ち退きの実現を図るという業務を、報酬と立ち退き料等の経費を割合を明示することなく一括して受領し受託したものであるところ、このような業務は、賃貸借契約期間中で、現にそれぞれの業務を行っており、立ち退く意向を有していなかった賃借人らに対し、専ら賃貸人側の都合で、同契約の合意解除と明渡しの実現を図るべく交渉するというものであって、立ち退き合意の成否、立ち退きの時期、立ち退き料の額をめぐって交渉において解決しなければならない法的紛議が生ずることがほぼ不可避である案件に係るものであったことは明らかであり、弁護士法72条にいう「その他一般の法律事件」に関するものであったというべきである。』と判示しています(但し、マーカー部分は筆者)。

司法権について

『司法権の固有の内容として裁判所が審判しうる対象は、裁判所法三条にいう「法律上の争訟」に限られ、いわゆる法律上の争訟とは、「法令を適用することによつて解決し得べき権利義務に関する当事者間の紛争をいう」ものと解され』ます((昭和41年2月8日最高裁第3小法廷判決・民集二20巻2号196頁))。

このように、言い換えれば法令は、当事者において争いのある特定の状況について解決し得る形で設計されています。そして、もし当事者間で話し合いで解決できない場合は、「裁判」によって、裁判所の判断を仰がなければなりません。

行政との紛争について

また、「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(以下単に「処分」という。)に関する不服申立てについては、他の法律に特別の定めがある場合を除くほか、この法律の定めるところによる」ことが出来ます(行政不服審査法1条2項)。

このような行政処分に不服がある場合も行政と当事者の間に争いのある状況ということが出来ます。

そもそも、刑罰権の存否、範囲を確定する刑事裁判は、国と当事者の対立構造がもっともシビアに生じる一場面ということもできます。

争訟と在野の法曹としての弁護士

このように弁護士は法令の適用に関する紛争について、法律事務を担う役割を負っています。

こうした争訟において行政事件や刑事事件においては直接の相手方という側面もあり、また民事事件においても判断者という側面もあり、必ずしも国家に属しない在野の法曹が要請される面があります。

また、このような距離感を実質的にも確保するため日本では弁護士自治という制度上の担保があります。このように国と一定の距離をおいていること(独立していること)が、制度上望ましい点もあり弁護士が在野の法曹として存在している側面があります。

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