①必要的共犯を処罰する規定がない場合:必要的共犯について一部を処罰する規定がない場合、刑法上処罰する意図がなく、刑法60条、61条、62条は適用できない。
②(狭義の)共犯の処罰根拠:刑法61条は教唆犯を、62条は幇助犯を処罰する。この趣旨は、共犯者が正犯者を介して法益を侵害し(結果無価値)、その様な共犯者自身の行為が社会的相当性を逸脱し(行為無価値)、かつ、正犯の実行行為も社会的相当性を逸脱する(行為無価値)点にある(混合惹起説)。
(狭義の)共犯の処罰根拠を、共犯者が正犯者を介して法益を侵害し(結果無価値)、その様な共犯自身の行為が社会的相当性を逸脱する点に求める(純粋惹起説)ならば、正犯が違法性を有しない場合にも、共犯の成立を認めうる(正犯なき共犯・違法の連帯性否定)。
(狭義の)共犯の処罰根拠を、共犯者が正犯者を介して法益を侵害し(結果無価値)、正犯者の実行行為が社会的相当性を逸脱する点に求める(修正惹起説)ならば、承諾の上で自己を傷害してもらったときでも、正犯に違法性が認められる以上、自己も教唆犯として処罰される事になる(共犯なき正犯の否定・違法の連帯性肯定)。
混合惹起説においては、共犯及び正犯双方の違法性を併せて共犯を処罰しうると解するから、違法の連帯性、相対性をともに肯定しうる。そして、正犯に違法性がない以上共犯は処罰できず(正犯なき共犯の否定)、正犯が違法でも自己が違法でなければ処罰されない(共犯なき正犯の肯定)。
③従属性の有無、程度:刑法61条、62条を適用して共犯として処罰するには、正犯が実行行為に出たことおよび、その行為が違法であることが必要(共犯従属性説+制限従属性説)と考える。共犯が処罰される根拠を、正犯を介して法益侵害ないしその危険を惹起し、かつ、正犯及び共犯の行為が共に違法である点に求めるからである。
④共同正犯の本質:構成要件を離れた行為の共同だけで共同正犯の成立を認めれば、その成立範囲が著しく拡大してしまう。したがって、刑法60条が「二人以上共同して犯罪を実行」と定めるとおり、共同正犯は犯罪を共同すると考える。そして、共犯者間で認識、企図した犯罪が構成要件をまたいで内容を異にする場合、重なり合う軽い罪の限度でのみ、「共同して犯罪を実行」したものと評せる(やわらかい部分的犯罪共同説)。
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