賭博のために使うと知って貸したお金の返還を法的に請求することはできません。
昭和47年 4月25日最高裁第三小法廷判決・裁判集民 105号855頁は、下記の通り判断して返還請求できないと判断しています。
所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし是認することができ、その認定判断の過程に所論の違法はない。そして、原審が適法に確定した事実関係によれば、上告人は、被上告人らの先代石川守義に対し、本件金員が賭博の用に供されるものであることを知りながら、これを貸与したものであるというのであるから、本件消費貸借契約は公序良俗に反し無効であることが明らかである。したがつて、上告人は石川守義の相続人である被上告人らに対し右貸金の返還を請求することはできないものというべきであり、結論においてこれと同旨に帰する原審の判断は相当である。所論は、原審の認定にそわない事実関係に基づいて原判決の違法をいうものであつて、採用することができない。
昭和47年 4月25日最高裁第三小法廷判決・裁判集民 105号855頁
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
また、昭和61年 9月 4日最高裁第一小法廷判決・裁判集民 148号417頁も上記最高裁判例を引用して、下記のとおり判断しています。
貸与される金銭が賭博の用に供されるものであることを知つてする金銭消費貸借契約は公序良俗に違反し無効であると解するのが相当であるところ(最高裁昭和四六年(オ)第一一七七号同四七年四月二五日第三小法廷判決・裁判集民事一〇五号八五五頁)、原審の適法に確定した事実によれば、被上告人は、上告人甲野に対し本件金銭が賭場開帳の資金に供されるものであることを知りながら、本件金銭を貸与したというのであるから、本件金銭消費貸借契約は公序良俗に違反し無効であるというべきである。したがつて、本件金銭消費貸借契約は無効とはいえないとした原審の判断には、民法九〇条の解釈適用を誤つた違法があり、この違法は原判決に影響を及ぼすことが明らかであるから、これと同旨に帰着する論旨は理由があり、原判決は、その余の論旨について判断するまでもなく、破棄を免れない。そして、原審の確定した事実及び右の説示によれば、被上告人の請求は、上告人らの主張する相殺の抗弁について判断するまでもなく、原審における請求の拡張部分を含めて、その全部につき理由がなく、棄却すべきことが明らかである。
昭和61年 9月 4日最高裁第一小法廷判決・裁判集民 148号417頁
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