総務省が、情報流通対処法に則り、大規模特定電気通信役務提供者(いわゆるプラットフォーム事業者、プラットフォーマー)に対して勧告をなしたと報道されています。
表現は、本来自由ですが他者の尊厳を傷つけることはできません。他者の尊厳を毀損した場合は、一定の責任を負うことになりますし、また、他者の尊厳を傷つけるような投稿は基本的に予防されなければならないことになります。
ところで、現代では多くの情報は情報流通プラットフォームと呼ばれる情報流通網を通して流通し、消費されます。情報流通対処法がプラットフォーム事業者を指定して、一般的な事業者よりも重たい義務を課しているのも、その権利侵害の多さから予防効果が高いからと考えられます。
そこで情報流通対処法は、プラットフォーム事業者に対して他者の尊厳や権利を傷つけている恐れのある投稿について、送信防止措置を講じる方法の明示や、これに対する調査義務を課して規制しています。もっとも、情報流通対処法上は削除義務まで求めるものではなく、申出フォームの構築や、申出があった際の調査を義務付けるものに留まり、削除義務までは課していません。しかしながら、侵害情報を覚知した後、これを放置することは不作為責任を負う可能性があるため、プラットフォーム事業者は間接的には削除義務を負う場合があると評価する余地もないわけではありません。
いずれにせよ、今回の勧告はプラットフォーム事業者として指定された5事業者について、送信防止措置の申出フォームの設置やその運用に関する公表義務、公開義務を遵守していないことについて勧告を行うものです。
特に多く指摘されているのは、運用状況の公表義務違反です。情報流通対処法や、これを受けた施行規則は、具体的な公表内容を定めています。ここで定められた公表すべき内容のうち、送信防止措置の申出件数や、これに対してどのような対応(送信を防止したか件数などの公表を義務付け)をとったかの公表などについて不備が目立つ点が指摘されています。また、もうすでに集計ができないという認識が示されていることから、今後状況の改善案などについて報告を求める勧告内容となっています。
他者の尊厳を傷つけ、あるいは権利を侵害する投稿については速やかな送信防止措置によって一定の救済効果が見込まれるため、今回勧告を受けた事業者にはより適正な運用が求められます。
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