被害者参加制度の解説ページ④ 事件の審理について意見を言えるようになりました

被害者参加制度とはどういった制度ですか? 

事件の審理について意見(論告)を言えるようになりました

 被害者参加制度の導入により,被害者参加人として事件に対する裁判官の最終的な判断について意見(論告)を言えるようになりました。

 意見を言うことができるのは,証拠調べ手続という刑事裁判の中核的な手続きが終了した後,すなわち刑事裁判としては終盤の手続きの中になります。

 そこまでの審理を踏まえて,被害者参加人としての被告人への処遇に対する最終的な意見を述べることになります。

このように,意見を述べ,事件を引き起こした被告人や,これから事件に対する最終判断を行う裁判官に,被害者として感じていること,考えていることを述べることは,刑事裁判にとっても非常に重要なことだと考えられます。

さらにワンポイント:条文チェック

刑事訴訟法316条の38は、被害者参加人の意見陳述を下記のとおり規定しています。

第三百十六条の三十八 裁判所は、被害者参加人又はその委託を受けた弁護士から、事実又は法律の適用について意見を陳述することの申出がある場合において、審理の状況、申出をした者の数その他の事情を考慮し、相当と認めるときは、公判期日において、第二百九十三条第一項の規定による検察官の意見の陳述の後に、訴因として特定された事実の範囲内で、申出をした者がその意見を陳述することを許すものとする。 
○2 前項の申出は、あらかじめ、陳述する意見の要旨を明らかにして、検察官にしなければならない。この場合において、検察官は、意見を付して、これを裁判所に通知するものとする。
 ○3 裁判長は、第二百九十五条第一項、第三項及び第四項に規定する場合のほか、被害者参加人又はその委託を受けた弁護士の意見の陳述が第一項に規定する範囲を超えるときは、これを制限することができる。
 ○4 第一項の規定による陳述は、証拠とはならないものとする。




 このように,被害者参加人が意見を陳述することができるのは,裁判所が「事情を考慮し、相当と認めるとき」であって、ここでも,無条件で意見陳述が認められるわけではありません。