弁護士の歴史

弁護士の前身は、代言人制度でした。代言人は、明治5 (1872) 年の司法職務定制 (太政官布告) によって設けられた、フランスの代言人制度をモデルにした制度です。

司法卿江藤新平は、フランスのノテール(notaire)、アヴーエ(avoué)、アヴォカ(avocat)を日本において、それぞれ証書人、代書人、代言人として、司法職務定制に取り入れました。

いわば、弁護士の前身の代言人制度はフランスから輸入されたんだね!

司法職務定制 (太政官布告) 第十章証書人代書人代言人職制

第四十一條
証書人
第一 各区戸長役所に於て証書人を置き田畑家屋等不動産の売買貸借及
生存中所持物を人に贈与する約定書に奥印せしむ
第二 証書奥印手数の為に其世話料を出さしむ

第四十二條
代書人
第一 各区代書人を置き各人民の訴状を調成して其詞訟の遺漏無からし
む 但し代書人を用ふると用ひさるとは其本人の情願に任す
第二 訴状を調成するを乞う者は其世話料を出さしむ

第四十三條
代言人
第一 各区代言人を置き自ら訴ふる能はさる者の為に之に代り其訴の事
情を陳述して冤枉無からしむ
但し代言人を用ふると用ひさるとは其本人の情願に任す
第二 代言人を用ふる者は其世話料を出さしむ

「冤枉無からしむ」 のが代言人の務めとされました。

ただし、制度制定当時は今でいう刑事事件の弁護活動は予定されていませんでした。

刑事訟廷事務は弁護士にとって特別な意義がある業務とも思えますが、実は民事訴訟代理人の方が制度としては先に導入されていたんですね!

さらに前身?公事宿

制度上の前身は代言人制度ですが、江戸時代の裁判である公事は郡代などが担当していました。この郡代の近くの宿は公事宿と呼ばれ公事のために宿泊している農民などに公事の指南をしたと言われています。非公認の公事師という者もいましたが、公事宿は公認のものもあったようです。

例えば、関東郡代があった馬喰町周辺には公事宿が多かったようです。

弁護士の本当の前身は、ホテル業だったんスね!

間違ってはないのかもしれないけど、何か違うと思うな・・・。

近代的な弁護士制度

その後1893年に、明治26年3月4日法律第7号として成立し、1933年(昭和8年5月1日法律第53号)に全部改正された後、さらに1949年に全部改正された(昭和24年6月10日法律第205号)「弁護士法」により、近代的な弁護士制度が確立されました。

弁護士法3条1項は、弁護士の職務について「弁護士は、当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱によつて、訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件に関する行為その他一般の法律事務を行うことを職務とする」と定めています。

このように、今日では弁護士は法令に関する知識を前提に、訴訟をはじめとした紛争の解決や、法令知識及び紛争の解決経験を前提とした契約内容や法律事項のアドバイスなど紛争予防のコンサルティング業務など広く「一般の法律事務」を提供する職業となっています。

弊所でも紛争の解決や、その予防のための法律サービスを提供しています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です