①同意の性質:当事者が「同意した書面又は供述は…証拠と…できる」(刑訴法326条)。この趣旨は、証拠に対する当事者の処分権を認め、証拠能力を付与する訴訟行為を認めた点にある(証拠能力付与説)と解する(実務)。
②原供述者尋問請求の可否:当事者が同意した場合、伝聞証拠の原供述者に対する証人尋問請求は認められるか。この点、同意の性質を証拠能力の付与と解する以上、原供述者に対する証人尋問請求は妨げられないと考える。
③弁護人の同意:326条1項は「検察官及び被告人」と定め、明確に弁護人を同意権者としていない。しかし、同意を証拠能力を付与する訴訟行為と解する以上、弁護人は「独立して訴訟行為を…できる」(刑訴法41条)から、弁護人にも同意権が認められる。
④退廷命令と同意擬制:326条2項は、「被告人が出頭しないときは…同意があったものとみなす」と規定する。この趣旨は、被告人が出頭しないとき、同意の有無を確かめる術がなく、訴訟遅延が生じることを防ぐ点にある。そして、被告が法廷の秩序を乱し、自己の責めにより退廷を命ぜられ(刑訴法341条)、反対尋問権を喪失したような場合も、審理を進めうるのは同様に、審理の円滑な実行を企図するものである。したがって、退廷を命ぜられた場合も、「被告人が出頭しないとき」に該当すると解してよい。
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