原発賠償請求における問題の所在

原発賠償請求における問題の所在について述べていきたいと思います。

まず問題となるが、原発賠償において、どこまでが賠償されるべき損害であるのか、という点です。

原発賠償においては様々な損害費目が賠償の対象となります。

住んでいた土地や建物に住めなくなった損害、住み慣れた場所から非難を余儀なくされた精神的損害、働けなくなってしまい給料や収益がなくなってしまった損害、家財道具がつかえなくなってしまった損害等、原発事故による避難からは、さまざま損害が発生しているはずです。

さらに、避難生活により2次的、3次的損害も連鎖的に発生していく場合があると考えられます。たとえば、避難生活により心身に失調が出た場合などが、顕著であると思われます。

そうしたとき、どの損害まで賠償されるべきかどこかに線を引いていかなくてはなりません。

法律では、因果関係という概念をモノサシとしてつかって、線引きしていく考え方が通常です。

このようにして、どこまでの損害が賠償されるべきかが決定したとして、次に問題になるのが、それぞれの損害費目が、金銭換算するといったいいくらくらいなのか?という点です。

損害は市場で流通しているわけではなくその金銭価格に客観的な基準がないから、誰かが損害を金銭に引き直した時一体いくらくらいの額が支払われるべきか、算定しなければなりません。

この損害の金銭価値への引き直しは正解のない難題であるため、ある程度算定に幅が出ます。

この算定の幅が、紛争の火種となることも多く次の問題点となります。

このように、どこまでの損害が賠償されるべきか、その損害はいくらで賠償されるべきかが、紛争に潜在している場合がほとんどではないかと考えられます。