交通事故案件において、刑事記録を閲覧する方法は刑事事件の進展、処理結果によって様々です。しかし事故態様などに争いのある事案では刑事記録の入手が重要になる場合もあります。
検察官による終局処分前
捜査中の刑事記録は、基本的に開示されません。
公訴提起後
犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律に基づき、刑事記録の閲覧謄写を申請することが出来ます。
犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律3条
1項 刑事被告事件の係属する裁判所は、第一回の公判期日後当該被告事件の終結までの間において、当該被告事件の被害者等若しくは当該被害者の法定代理人又はこれらの者から委託を受けた弁護士から、当該被告事件の訴訟記録の閲覧又は謄写の申出があるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、閲覧又は謄写を求める理由が正当でないと認める場合及び犯罪の性質、審理の状況その他の事情を考慮して閲覧又は謄写をさせることが相当でないと認める場合を除き、申出をした者にその閲覧又は謄写をさせるものとする。 2項 裁判所は、前項の規定により謄写をさせる場合において、謄写した訴訟記録の使用目的を制限し、その他適当と認める条件を付することができる。 3項 第一項の規定により訴訟記録を閲覧し又は謄写した者は、閲覧又は謄写により知り得た事項を用いるに当たり、不当に関係人の名誉若しくは生活の平穏を害し、又は捜査若しくは公判に支障を生じさせることのないよう注意しなければならない。 |
判決確定後
刑事訴訟法53条により訴訟記録を閲覧することが出来ます。
刑事訴訟法53条 1項 何人も、被告事件の終結後、訴訟記録を閲覧することができる。但し、訴訟記録の保存又は裁判所若しくは検察庁の事務に支障のあるときは、この限りでない。 2項 弁論の公開を禁止した事件の訴訟記録又は一般の閲覧に適しないものとしてその閲覧が禁止された訴訟記録は、前項の規定にかかわらず、訴訟関係人又は閲覧につき正当な理由があつて特に訴訟記録の保管者の許可を受けた者でなければ、これを閲覧することができない。 3項 日本国憲法第八十二条第二項但書に掲げる事件については、閲覧を禁止することはできない。 4項 訴訟記録の保管及びその閲覧の手数料については、別に法律でこれを定める。 |
不起訴の事案
法令の根拠はありませんが、検察庁の開示方針に基づいて、被害者等の開示申請に応じて刑事記録が開示される場合があります。
文書送付嘱託等
前記いずれに関わらず、民事訴訟の中で文書送付嘱託を申し立てた場合、検察庁の開示方針に基づいて、刑事記録が開示され得ます。
加害者が未成年の場合
記録は家庭裁判所が扱います。事件の終件後、少年法に基づいて、家庭裁判所に対して閲覧謄写申請を行うことができます。
少年法5条の2 1項 裁判所は、第三条第一項第一号又は第二号に掲げる少年に係る保護事件について、第二十一条の決定があつた後、最高裁判所規則の定めるところにより当該保護事件の被害者等(被害者又はその法定代理人若しくは被害者が死亡した場合若しくはその心身に重大な故障がある場合におけるその配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹をいう。以下同じ。)又は被害者等から委託を受けた弁護士から、その保管する当該保護事件の記録(家庭裁判所が専ら当該少年の保護の必要性を判断するために収集したもの及び家庭裁判所調査官が家庭裁判所による当該少年の保護の必要性の判断に資するよう作成し又は収集したものを除く。)の閲覧又は謄写の申出があるときは、閲覧又は謄写を求める理由が正当でないと認める場合及び少年の健全な育成に対する影響、事件の性質、調査又は審判の状況その他の事情を考慮して閲覧又は謄写をさせることが相当でないと認める場合を除き、申出をした者にその閲覧又は謄写をさせるものとする。 2項 前項の申出は、その申出に係る保護事件を終局させる決定が確定した後三年を経過したときは、することができない。 3項 第一項の規定により記録の閲覧又は謄写をした者は、正当な理由がないのに閲覧又は謄写により知り得た少年の氏名その他少年の身上に関する事項を漏らしてはならず、かつ、閲覧又は謄写により知り得た事項をみだりに用いて、少年の健全な育成を妨げ、関係人の名誉若しくは生活の平穏を害し、又は調査若しくは審判に支障を生じさせる行為をしてはならない。 |
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