様々な交通事故案件について

様々な交通事故案件について

交通事故案件も,事故態様や受傷態様からさまざま事案に類型化することが出来ます。それぞれの類型と,交通事故示談における留意点を記載しています。なお,当該類型は弁護士齋藤理央 iC法務(iC Law)の独自の分類類型となります。

追突事故

信号待ち停車中など,事故車両停車中に後方などから一方的に追突される態様の事故です。被害車両停車中の事故であることから,原則的に過失割合が100:0と認定されやすい類型の事故です。したがって,過失割合はあまり争点とされません。後方からの追突という事故形態から頸椎捻挫、腰椎捻挫(いわゆるむちうち)を受傷される方が多い類型の事故でもあります。

頸椎捻挫・腰椎捻挫(いわゆるむちうち)の交通事故受傷

交通事故の受傷類型として,もっとも多いものが頸椎捻挫・腰椎捻挫(いわゆるむちうち)の受傷です。頸椎捻挫・腰椎捻挫の受傷について,もっとも注意しなければならないポイントのひとつが,通院期間です。頸椎捻挫・腰椎捻挫の通院期間については,実務上6カ月がひとつの区切りとされ,6カ月を超えて通院したい交通事故被害者と,任意保険会社の間で治療費の打ち切りなどをめぐり紛争となることがあります。逆に,任意保険会社も医師も何も言わないため1年以上通院を続けるケースもあります。しかし,通院期間が長すぎるとして事後的に民事訴訟で一定期間の通院費を自己負担分と認定されることがあります。この場合,慰謝料などの損害賠償金が逓減することになります。交通事故受傷の被害者が頸椎捻挫・腰椎捻挫を交通事故受傷された場合,6カ月をめどに,法的な側面から通院の是非を判断するため,法律相談していただくことをお勧めします。このように,頸椎・腰椎捻挫受傷の交通事故案件は,通院期間が一つの大きなポイントとなっています。
また、バレリュー症候群や,頭痛、腰痛などの神経症状が残存し,長期間後遺症に苦しむケースも稀ではありません。後遺症部分の損害について裁判所基準の正当な賠償金を加害者や加害者加入の保険会社に支払わせることが,重要です。

死亡案件

交通事故被害者が死亡した場合の交通事故類型です。被害者が死亡されていますので,原則的には後遺障害などは問題とならず,案件として争点があまり発生しない場合もあります。争点が発生する場合は,事故態様(事故と死亡の因果関係や過失割合)や逸失利益などが争点となることが多く,賠償金が高額となることから激しく争われるケースもあります。被害者が相当程度高齢の場合,自賠責保険金だけで賠償金が全て賄われてしまうことがあり、弁護士介入がメリットとならないケースもあり、この点も注意が必要です。

可動域制限

交通事故受傷による骨折などのあとに,治療期間を経て症状固定した際,両手足,肩,腰,手指などの関節に拘縮等が生じて関節可動域制限が残存する事案です。拘縮の原因が長期間のギプスなどによる固定に基づいている場合があり,交通事故受傷との因果関係が争われやすい事故類型となります。

外貌醜状

交通事故受傷後,治療を施しても元に戻らない顔や,身体の露出しやすい部分に残存した大きな傷跡は後遺症と評価されることになります。この,顔や身体の傷跡を後遺障害等級認定においては,外貌醜状と呼んで,後遺障害の等級認定対象としています。職業に応じて逸失利益に違いが生じるのか,男女において逸失利益などに差異を認めるべきかなど,多様な争点が論じられてきた部分です。

腰椎・頸椎損傷,遷延性意識障害など重篤な後遺症を伴う交通事故受傷

交通事故受傷により、いわゆる植物状態となったり,寝たきり,車いすでの生活を余儀なくされるなど,高度に重篤な後遺症が残存する案件です。賠償額が高額となりやすく,専門家の適切な対応が強く望まれる分野です。

精神疾患を伴う交通事故

交通事故受傷により,交通事故自体の恐怖や,交通事故により職を失うという不運から,精神的な疾患を併発するケースが後を絶ちません。精神疾患は身体的な怪我と異なり,目に見えないことから,交通事故との因果関係や発症そのものが争われるケースがとても多い事故類型となっています。