富田林署から被疑者が逃走 https://t.co/uJGGWzpjgA
— 弁護士齋藤理央 (@b_saitorio) 2018年8月14日
前回のエントリ(ブログ記事)でも記載した、こちらの事件ですが現在、加重逃走罪で全国に指名手配されているとのことです。
では、加重逃走罪とは、どういった犯罪なのでしょうか。
刑法は、第6章に「逃走」という章を設けて、以下の通り構成要件(犯罪が成立するための条件)を定めています。
刑法第六章 逃走の罪
(逃走)
刑法第九十七条 裁判の執行により拘禁された既決又は未決の者が逃走したときは、一年以下の懲役に処する。(加重逃走)
刑法第九十八条 前条に規定する者又は勾引状の執行を受けた者が拘禁場若しくは拘束のための器具を損壊し、暴行若しくは脅迫をし、又は二人以上通謀して、逃走したときは、三月以上五年以下の懲役に処する。
このように、基本類型として逃走罪があり、態様が悪質なものについては加重逃走罪というより刑罰の重たい犯罪類型として取り扱われています。
基本類型の逃走罪は、既決又は未決の者が主体になります。今回は、まだ、刑事訴訟が始まってもいない段階でしたから、「未決の者」ということになります。
「逃走」というのは、看守者の支配から脱することを言うと考えられています。今回のケースでいうと富田林署が行っている留置支配を脱したときに「逃走」したということになります。時刻は未定ですが、気付かれないまま接見室から抜け出した時点、あるいは富田林署の建物から出た時点で留置支配から脱したといえるので、逃走が既遂となります。
加重逃走
さらに今回は、加重逃走というより重たい犯罪が成立するケースとして全国に指名手配されています。
加重逃走罪は、逃走のために「拘禁場若しくは拘束のための器具を損壊し、暴行若しくは脅迫をし、又は二人以上通謀し」た場合に成立することと条件が決められています。いくつかの悪質な態様について特に重く処罰することとしています。
今回は、脱出のためにアクリル板を壊した、接着部をはがしたというようなことが報道されていますので、おそらく「拘禁場…の器具を損壊し」て、「逃走」したものとして加重逃走罪の嫌疑がかけられているのだと考えられます。
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