刑事訴訟法の論点
捜査1.捜査総説
①有形力行使 ①-①有形力行使と「強制の処分」 刑事訴訟法197条1項本文は任意捜査を許容するとともに、197条但書は強制捜査法定主義を定める。それでは、法律の規定なくしては行えない「強制の処分」とはどのような捜査をさす...
伝聞法則6.伝聞例外5:弾劾証拠
①同一人の矛盾供述に限られるか(328条の趣旨) 328条は、「証拠とすることができない書面又は供述であつても…被告人、証人その他…の供述の証明力を争うためには…証拠と…できる」と定める。この趣旨は、同一人の自己矛盾供述...
伝聞法則3.伝聞例外2:検察官面前調書以外の書面
①実況見分調書 ①-①実況見分調書と伝聞例外 実況見分調書も、実況見分を行った者の認識した内容の真実性が問題となるから、伝聞証拠にあたる。もっとも、「検証の結果を記載した書面」(321条3項)には該当しない。しかし、検証...
刑事訴訟の一事不再理
①一事不再理効 確定判決を経た場合、判決で免訴を言い渡さなければならない。この趣旨は、憲法39条後段に規定された、二重の危険の禁止に由来すると解される。すなわち、何人も「同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問われない...
公訴:訴訟条件
①訴状条件 訴訟条件とは、係属した事件について、実体的に審理、判断を行う要件をいう。管轄違い、控訴棄却を導く形式的訴訟条件と、免訴を導く実体的訴訟条件がある。 ②訴訟条件の判断対象 係属事件が訴訟条件を具備しているか否か...
公訴:訴状の記載
①幅のある訴因の特定 訴因を明示するには、できる限り罪となるべき事実を特定してしなければならない(256条3項)。そこで、訴因について幅のある記載が違法ではないかが問題となる。ここで、訴因は、審判の対象たる、検察官構成の...
択一的認定
①概括的認定 裁判所の心証に特定できない部分があれば、「犯罪の証明があつたとき」(333条1項)には当たらず、利益原則から有罪とできないのではないだろうか。この点、同一構成要件内で、概括的な認定となっても、幅のある確証が...
違法収集証拠排除法則
①違法収集証拠排除法則 違法な捜査によって入手された証拠でも、その証拠能力を否定する規定は無く、訴訟上有効な証拠足りうる。しかし、裁判所が違法な証拠によっても有罪判決をするのであれば、違法捜査を助長することになりかねない...
刑事訴訟法の証拠と自白法則
①自白の任意性 任意にされたものでない疑いのある自白は証拠とできない(319条1項)。自白とは、犯罪事実の全部または主要部分を認める被告人の供述で、自白に満たない不利益事実を認める供述は承認(322条1項)と呼ばれる。 ...